いま写します紅葉が散ります│昭和八年十一月 句は昭和八年のもの。前書きから、現山口県山口市と萩市にまたがる長門峡を訪れた時のものと思われます。ただ、この頃の日記は残されておらず、詳細は不明です。 句集『草木塔』に収められていますが、十一月十三 続きを読む 2022年11月1日
熟柿のあまさもおばあさんのおもかげ│昭和九年十月 句は昭和九年、其中庵でのもの。前書きに「老祖母追憶」とあります。 熟柿を詠んだ山頭火の句を見てみると、 おもひではかなしい熟柿が落ちてつぶれた(祖母追懐) 昭和九年十一月熟柿落ちたるにもおばあさんの 続きを読む 2022年10月1日
秋空はつきりお城は白く│昭和十五年九月 句は昭和十五年、松山でのもの。 山頭火が住んでいた一草庵は、松山城北にありました。すっきりと晴れた秋の空に、松山城の天守閣が白くはっきりと浮かんでいる情景が読まれています。 松山城は平山城で、その天 続きを読む 2022年9月2日
旅はいつしか秋めく山に霧のかゝるさへ│昭和八年八月 昭和八年八月八日の句。この日山頭火は、小郡の其中庵を出発して短い行乞の旅に出ています。この日は現在の美祢市秋芳町あたりで行乞し、一泊しています。 昭和八年八月八日は、ちょうど立秋でした。山頭火も歩き 続きを読む 2022年8月1日
明日は出かける天の川まうへ│昭和七年七月 昭和七年七月四日の句。この頃の山頭火は、川棚に庵を構えようと奮闘していました。俳句仲間たちから資金を援助してもらいながらも、身元の保証という点において難航していたようですが、この日に地元の人に保証人 続きを読む 2022年7月1日
あるけば涼しい風がある草を踏み│昭和十五年六月 昭和十五年六月、松山での句。「涼しい風」を肌で感じながら自然の中を歩いていく、さわやかな情景が浮かびます。また、風が吹き抜けて草がそよぐ音や草を踏みしめて歩くやわらかな足音も聞こえてくるようです。 続きを読む 2022年6月1日