梅雨晴れの山がちぢまり青田がかさなり|昭和七年六月 昭和七年六月の句。この頃の山頭火はどこか安住できる土地がないか探していましたが、その候補地としてあがってきたのが川棚温泉(現下関市豊浦町)でした。 今回の句は、川棚温泉の木下旅館に宿泊している六月十 続きを読む 2021年6月2日
伸びぬいて筍の青空|昭和八年五月 昭和八年五月の句。小郡の其中庵に前年九月に落ち着いて初めて迎えた春です。 山頭火がたけのこを詠んだ句を調べてみると、そのほとんどが昭和八年から十年、すなわち其中庵に住んでいた時期に集中しています。こ 続きを読む 2021年5月1日
星がまたたく 旅をつづけてきてゐる|昭和七年四月 昭和六年末、山頭火は日記に「旅から旅へ旅しつゞける外ない私でありました」と書き、仮寓していた熊本の貸二階を引き上げました。福岡県、佐賀県、長崎県と九州西国三十三か所を巡礼し、福岡まで戻ってきた頃に 続きを読む 2021年4月24日
旅出 春風の吹くまま咲いて散つて行く|昭和十三年三月 春は多くの植物が芽吹く季節です。春風が連れてくる暖かさによって植物は芽吹き、花を咲かせ、やがて散っていきます。句は、そうした自然の流れを描写するとともに、人が生きる姿を俯瞰しているようにも受け取れます 続きを読む 2021年3月18日
梅もどき赤くて機嫌のよい頬白目白|昭和九年二月 其中庵から北九州近辺への短い旅に出立する日の句です。日記には「北九州めぐり」とありますが、糸田(現・田川郡糸田町)まで足を延ばした旅でした。昭和九年二月十九日に出発し、 その日のうちに長府(現・下関 続きを読む 2021年2月7日
水仙いちりんのお正月です|昭和六年一月 この句は、昭和六年の元旦に詠んだものです。 山頭火は昭和五年九月、これまでの日記や手記を焼き捨てて熊本を出発し、九州を一周するように歩きましたが、年末には再び熊本に戻ります。十二月二十日には「(熊本 続きを読む 2021年1月7日