あるけば涼しい風がある草を踏み│昭和十五年六月 昭和十五年六月、松山での句。「涼しい風」を肌で感じながら自然の中を歩いていく、さわやかな情景が浮かびます。また、風が吹き抜けて草がそよぐ音や草を踏みしめて歩くやわらかな足音も聞こえてくるようです。 続きを読む 2022年6月1日
生えて伸びて咲いてゐる幸福│昭和九年五月 昭和九年五月の句。この年の三月、山頭火は東日本方面への長い旅を計画して小郡を出発しました。広島、神戸、名古屋等を経て、長野県の伊那にある井上井月(いのうえせいげつ)の墓に向かう途中、飯田で肺炎を患い 続きを読む 2022年5月1日
草餅のふるさとの香りをいたゞく│昭和七年四月 昭和七年四月、長崎を歩いていた頃の句です。三月三十一日に平戸に泊まり、句を詠んだ四月四日には、平戸から御厨(現・松浦市)まで歩いています。 平戸の風景を山頭火は非常に気に入ったようでした。日記でも 続きを読む 2022年4月1日
飾窓の牛肉とシクラメンと│昭和七年三月 昭和七年三月六日の句。この頃は前年末に熊本を出発し、九州北部を行乞していました。掲句は、長崎から佐賀に入り、現在の太良町、鹿島市、白石町、江北町を経て佐賀市で詠んだ句です。 さて、掲句の「飾窓」は 続きを読む 2022年3月1日
足音は郵便やさんで春めいた雨│昭和八年二月 昭和八年二月八日、其中庵(ごちゅうあん)での句です。句を詠んだ日の日記には あたゝかい雨、もう春が来たかと喜ばせるやうな。 と書いています。 雨粒まで冷たい冬の雨とは違い、暖かい空気の中をしとし 続きを読む 2022年2月1日
寝ざめしん/\雪ふりしきる 昭和八年一月、小郡の其中庵(ごちゅうあん)にて詠んだ句。 日記を読むと、この日は、朝目が覚めると雪が降り積もっていたということが分かります。 すこし早目に起きた、(略)ところが、雪だ、このあたりには 続きを読む 2022年1月1日