水田青空に植ゑつけてゆく|昭和七年六月 この句は、昭和七年六月十七日、下関・川棚の木下旅館に宿泊している時期に詠んだものです。山頭火は川棚が気に入り、木下旅館には数か月留まっていました。 この日の日記を引用します。 このあたりも、ぼつぼ 続きを読む 2018年6月18日
ひとりひつそり雑草の中|昭和九年五月 この句は、山々も青くなり、道端の雑草も勢いをつけ始める初夏の時期の句です。 この句は『其中日記』昭和九年五月二十日が初出です。その日の日記を抜粋してみます。 雨、よい雨、風、わるい風、身心すなほ 続きを読む 2018年5月17日
さくらさくらさくさくらちるさくら|昭和七年四月 「さくらさくらさくさくらちるさくら」と平仮名で表記することで、似ている文字の形の面白さを引き立て、さらに非常にリズムよく詠まれているのが特徴ですが、一見すると、どの場所で文字を区切って良いか迷う句でも 続きを読む 2018年4月18日
後になり先になり梅にほふ|昭和十一年三月 昭和十年十二月、山頭火は旅に出ました。「ゆきたい方へ、ゆけるところまで」、「死場所をさが」すための旅でした。そして昭和十一年の三月に京都、奈良を巡っています。三月二十三日には、奈良の月ヶ瀬梅渓へ行っ 続きを読む 2018年3月18日
春がきた水音のそれからそれへあるく|昭和九年二月 この句は、山頭火が其中庵に住んでいた頃の日記に書かれています。 晴、寒い、いよいよ出立だ。 (略) まことに久しぶり行乞の旅である、絡子(らくす)をかけることを忘れたほど、あはてゝいそいだ 続きを読む 2018年2月18日
父によう似た声が出てくる旅はかなしい|昭和七年一月 山頭火の父親、種田竹次郎は大正五年二月に山頭火と共に経営していた種田酒造場の酒が二年連続腐敗したことをきっかけに、行方をくらまし、山頭火の前から姿を消しています。 山頭火は昭和六年十二月に、一時住ん 続きを読む 2018年1月18日