企画展「雑誌『俳句研究』と自由律」をもっと知りたい!①

『俳句研究』とは


 みなさまこんにちは。山頭火ふるさと館学芸員の高張です。
 このたびの企画展「雑誌『俳句研究』と自由律」について、展示ではお伝えしきれていないさまざまな内容をこちらでご紹介したいと思います。

 昭和9(1934)年に改造社から創刊された『俳句研究』は、俳壇で最初の本格的な総合俳句雑誌でした。『俳句研究』には、俳句の作品が掲載されるだけでなく、様々な主張の俳論や随筆が掲載されたり、また色々な特集も組まれました。
 作品を見てみると、高浜虚子(きょし)主宰の『ホトトギス』から出た俳人が多数を占めていますが、『ホトトギス』以外の結社で活躍した俳人もいます。その中には、荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)、中塚一碧楼(いっぺきろう)、そして種田山頭火等、自由律俳人の作品も掲載されていました。
 俳論や随筆などを見ると、俳人だけでなく、小説家・詩人の島崎藤村(とうそん)、詩人の萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)、民俗学者の柳田国男など当時の著名な文学者たちも寄稿しています。

 このように俳壇全体を巻き込み、俳壇の外との交流ももった“総合俳句雑誌”の中身を、次回はもう少し掘り下げてみようと思います。

『俳句研究』第三巻第一号(昭和11年1月)目次
島崎藤村、萩原朔太郎、詩人の三好達治が寄稿
『俳句研究』第三巻第八号(昭和11年8月)目次
柳田国男、文芸評論家の小林秀雄等が寄稿