悔いるこころに日がてり小鳥きてなくか│昭和九年十二月 昭和九年十二月三日の句。小郡の其中庵(ごちゅうあん)で迎えた、山頭火五十二歳の誕生日です。 独酌一本、感慨無量。 樹明君招待、酒は亀齢、下物は茹葱と小鰕、ほうれん草のおひたし、鰯の甘漬。…… 思ひが 続きを読む 2021年12月1日
あなもたいなや お手手のお米こぼれます|昭和十四年十一月 昭和十四年九月、山頭火は昭和七年から住み続けた山口を再び去り、四国へ向かいました。松山に着くとすぐに四国遍路の旅に出発します。掲句は四国遍路の途上、十一月十日、現在の高知県香南市付近の沿岸を歩いてい 続きを読む 2021年11月1日
ゆふ空から柚子の一つをもらふ|昭和七年十月 昭和七年十月十二日の日記に、 ゆふ空から柚子の一つをもぎとるという句が記されています。これを推敲して第二句集『草木塔』に掲載したのが、掲句です。 この年の九月、山頭火は小郡町(現山口市)に「其中庵 続きを読む 2021年10月1日
霧島は霧にかくれて赤とんぼ│昭和五年九月 昭和五年九月、山頭火はこれまでの日記や手記をすべて焼き捨て、一時滞在していた熊本から再び旅に出ました。新たな日記として『行乞記』をつけ始め、そこには「私は今、私の過去一切を清算しなければならなくなつ 続きを読む 2021年9月1日
腹いつぱい飲んで寝るふるさとの水|昭和九年八月 昭和九年八月の句。佐野に住んでいる妹を訪ねたときのものです。 山頭火の同母の妹シヅは、右田村佐野(現・防府市佐野)の町田家に嫁いでおり、山頭火は小郡に住んでいる時期、しばしば妹シヅを訪ねていっていま 続きを読む 2021年8月1日
夕立晴の花をたづねてあるく|昭和八年七月 昭和八年七月の句。この年は小郡の其中庵(ごちゅうあん)に住んでおり、そこからたびたび、北九州や山口県内など近隣に行乞することもありました。掲句を詠んだ日にも午前中に鋳銭司で行乞しています。さらに夕方 続きを読む 2021年7月1日