種田山頭火の俳句は現在一万句以上残っていますが、そのうちの約七〇〇句が句集『草木塔』に収められています。この企画展では、句集『草木塔』の元となった山頭火自選の七冊の句集について、どのように編まれたのか、またどのような性格の句集なのか詳しく紹介しました。前期には第一から第四句集、後期には第一句集、第五から第七句集をご紹介しました。また、山頭火の新発見ハガキも公開しました。
<会期>
前期 令和7年4月11日(金)~6月22日(日)
後期 令和7年6月27日(金)~9月7日(日)


○第一句集『鉢の子』(昭和7年6月20日)
経本仕立てで、表紙は藍色の和紙に浮き出しで菱と菊花を合わせた模様を入れる。本文は赤い罫線とともに一ページ3句印刷される。句は八十八句を所収。大正14(1925)年、熊本の味取観音堂での句から、昭和7年4月ごろまでの行乞の旅の中で詠まれた句を収める。
昭和6(1931)年末に熊本を出た山頭火は、熊本以外に落ち着いて住める場所を探していた。結庵費用調達のために句友から援助をもらい、その返礼品として出版されたのが第一句集『鉢の子』である。山頭火後援会の発起人としては、山頭火の信頼厚かった木村緑平(りょくへい)・久保白船(はくせん)、当時交友の深かった石原元寛(もとひろ)・三宅酒壺洞(しゅこどう)が名を連ねた。
○第二句集『草木塔』(昭和8年12月3日)
第一句集と同様に経本仕立て、罫線を引いて一ページ三句印刷される。表紙の題箋は展示資料では木版印刷。本文は手漉き和紙(出雲紙)を使用。第三句集以降同様、島根の手漉き和紙製作者でのちに人間国宝となる安部榮四郎によるものと思われる。三〇〇部、定価七十五銭。
扉には収録句から一句選んで揮毫している。この形態は第七句集まで受け継がれる。展示資料では「うごいてみのむしだつたよ」。
句は二部構成で八十八句収められている。
・「其中一人」四十七句(昭和7年9月~昭和8年7月)
・「行乞途上」四十一句(昭和7年4月~昭和8年6月)
巻末には昭和8年10月15日付けのあとがき「其中庵から草木塔まで」を付す。
○第三句集『山行水行』(昭和10年2月28日)
これまで同様経本仕立て、一ページに三句、両面に印刷されている。表紙の題箋は木版印刷。本文には安部榮四郎による出雲紙を使用、天地アンカット。三〇〇部、定価八十銭。
第二句集同様、扉に揮毫がある。展示資料では「うれしいこともかなしいことも草しげる」。
句は二部構成で一四二句を収める。
・「雑草の中」一〇三句(昭和8年7月~昭和9年3月、昭和9年5月~11月)
・「旅から旅へ」三十八句(昭和8年6月~昭和9年4月)
巻末には昭和9年12月3日付けのあとがきを付す。
○第四句集『雑草風景』(昭和11年2月28日)
これまで同様経本仕立て、一ページ三句印刷。題箋は大山澄太の字を印刷。本文には安部榮四郎による出雲紙を使用、天地アンカット。三〇〇部、定価七十銭。
扉の揮毫は、展示資料では「若葉ふかく水澄めば水の澄みやう」。
句は昭和9年秋から昭和10年秋までに、其中庵での生活の中で詠まれた七十二句を収める。
巻末のあとがきは昭和10年12月20日付け、広島にて書いたものだろう。
○第五句集『柿の葉』(昭和12年8月5日)
これまで同様経本仕立て、一ページに三句印刷。反対の面には木村緑平句集『柿の葉』が印刷されている。本文には安部榮四郎による出雲紙を使用、天地アンカット。三〇〇部、非売品。
第五句集は、一方の面に山頭火句集、もう片方の面に木村緑平の句集を印刷している。
緑平も山頭火もそれぞれ扉に揮毫する。展示資料では山頭火の「ぬれててふてふどこへゆく」が書かれている。
山頭火の句は、以下のような一一九句を収める。
・昭和10年12月から昭和11年7月にかけての旅で詠まれたもの(四十一句)
・旅の後、其中庵にて詠まれたもの(七十八句)
山頭火句集の方には昭和12年夏のあとがきを付す。
○第六句集『孤寒』(昭和14年1月25日)
これまで同様経本仕立て、一ページに三句、両面印刷。題箋は木版印刷。本文には安部榮四郎による出雲紙を使用、天地アンカット。三〇〇部、非売品。
扉の揮毫は、展示資料では「しぐれて雲のちぎれゆく支那をおもふ」。
句は三部構成で一一七句を収める。
・「銃後」二十五句(昭和12年~13年)
・「草庵消息」五十六句(昭和12年春~昭和13年夏)
・「旅心」三十六句(昭和12年末~昭和13年夏)
巻末に、昭和13年10月のあとがきを付す。
○第七句集『鴉』(昭和15年7月25日)
これまで同様経本仕立て、一ページに三句印刷。題箋は木版印刷。本文には安部榮四郎による出雲紙を使用、天地アンカット。反対面に木村緑平句集『雀』を印刷している。二〇〇部、非売品。
扉の揮毫は、展示資料では「へそが汗ためてゐる」。
山頭火の句は、昭和13年秋から昭和14年10月までの七十二句を収める。
巻末に、昭和15年2月のあとがきを付す。
【展示資料一覧】すべて当館蔵、●通期、○前期、◎後期
●第一句集『鉢の子』(種田山頭火、発行所:三宅酒壺洞、編集兼発行者:木村緑平、昭和七年六月二十日)、◎『層雲』第二十二巻第五号(昭和七年九月・層雲社)、●【掛軸】木の芽草の芽あるきつゞける(種田山頭火)、●【掛軸】くにさきは仁聞の国巌峰つらなり(三宅酒壷洞)、●【掛軸】両子山をうらから六月の蝉なく(三宅酒壷洞)、●【短冊】句を削り一字のむつかしさ秋の蚊をうつ(荻原井泉水)、●原農平宛てはがき(種田山頭火、昭和五年三月十三日)、●原農平宛てはがき(種田山頭火、昭和五年四月六日)、●原佐一宛てはがき(種田山頭火、昭和七年一月二十九日)、●原佐一宛てはがき(石原元寛、昭和七年二月二十六日)、○第二句集『草木塔』(種田山頭火、発行所:其中庵三八九会、発行兼印刷製本者:大山澄太、昭和八年十二月三日)、○『層雲』第二十三巻第九号(昭和九年一月・層雲社)、○【色紙】お正月のからすかあかあ 山頭火作(大山澄太)、○第三句集『山行水行』(種田山頭火、発行所:其中庵三八九会、発行兼印刷製本者:大山澄太、昭和十年二月二十八日)、○【拓本軸装】山あれば山を観る/雨の日は雨を聴く/春夏秋冬/あしたもよろし/ゆふべもよろし(拓本:水落龍勝、揮毫:種田山頭火)、○第四句集『雑草風景』(種田山頭火、発行所:杖社、発行印刷製本人:大山澄太、昭和十一年二月二十八日)、○【短冊】空へ若竹のなやみなし(種田山頭火)、◎第五句集『柿の葉』(種田山頭火、発行所:杖社、発行印刷製本人:大山澄太、昭和十二年八月五日)、◎【短冊】旅は笹山も笹のそよぐのも(種田山頭火)、◎第六句集『孤寒』(種田山頭火、発行所:杖社、発行印刷製本人:大山澄太、昭和十四年一月二十五日)、◎【短冊軸装】遺骨を迎へて ぽろぽろ流るる汗が白い函に(種田山頭火)、◎第七句集『鴉』(種田山頭火、発行所:杖社、発行印刷製本人:大山澄太、昭和十五年七月二十五日)
