ふつと逢へて初夏の感情│昭和九年六月 昭和九年六月十二日の日記に書かれた句。小郡(現山口市)の其中庵に住んでいた時期です。 この前日、阿東(現山口市)生まれの『層雲』同人で大正時代に交流があった渡辺砂吐流(さとる)が其中庵を訪ね、一泊し 続きを読む 2025年6月1日
ふるさとの言葉のなかにすわる│昭和七年五月 昭和七年五月二十一日の『行乞記』に記された句。前年末には当時暮らしていた熊本を離れ、九州各地での行乞の旅を行っていました。この旅で山頭火は九州三十三所観音巡礼を結願成就したほか、第一句集の出版に向けて 続きを読む 2025年5月1日
ほんにお山はしづかなふくろう│昭和十四年四月 昭和十四年四月二日、広島県三原市の佛通寺で詠まれました。 前月末に湯田温泉を出立し、東へ向けて旅に出た山頭火は、まず広島の句友、大山澄太を訪ねました。そして澄太とともに佛通寺に参拝します。 佛通寺は 続きを読む 2025年4月1日
ごつちやに寝てゐる月あかり│昭和八年三月 昭和八年三月の句。九州・山口の行乞を経て山口県吉敷郡小郡町(現・山口市小郡)の其中庵を拠点に活動していた時期に詠まれた句です。 句は「敬坊に」という書き出しの後に続けられています。敬坊とは小郡出身の伊 続きを読む 2025年3月1日
夜のふかうして薬缶たぎるなり│昭和九年二月 昭和九年二月十二日、小郡の其中庵で詠まれた句。この前後の日記を見てみます。 石油がきれたのには困つた、先日来の不眠症で、本でも読んでゐないと、長い夜がいよ/\ます/\長くなるのである。(二月八日) 続きを読む 2025年2月1日
捨てきれない荷物の重さまへうしろ│昭和五年一月 昭和五年一月に詠まれた句。昭和四年九月から同年年末にかけて九州を旅した後、熊本に戻ってきた時期の作品になります。山頭火は四十五歳の頃から、一笠一鉢を携え行乞を続けてきました。身軽な旅姿とは言え、独り 続きを読む 2025年1月1日